名探偵コナンの二次創作サイト。18歳未満の方は御遠慮ください。公式とは一切無関係です。 取り扱いカプ→快新・Kコ・その他コナン受 基本R18、管理人の趣味により猟奇、ヤンデレ、他者モブ×受けなフルボッコ話もあるかと思うので閲覧にはご注意ください。
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新一に戻れなかった12才コナンと快斗22才の話。
12才コナンは人前では敬語に礼儀正しく(7才のぶりっこ猫かぶりと同じ)、快斗の前でだけ生意気で軽口たたいてたらいいよね、みたいな妄想です。毎日成長するコナンにどきどきの快斗っていうかまあいちゃいちゃラブラブしてます。
Re:Birth ―リバース―
凄惨な殺人事件の現場となったショッピングモールから、自動ドアのガラスをくぐって子供が一人、重い足取りで出てくる。俯き気味の顔は元気がなかったが、背後から刑事に呼び止められると、にっこりと端正な笑みを浮かべて顔をあげた。
少年は後ろから息を切らして走ってきた刑事と、身振り手振りを交えて何事か話している。しゃんと背筋を伸ばして礼儀他正しく、「いつも小学生の君を巻き込んですまないね」としきりに謝る刑事に、子供らしい冗談を言って笑わせてもいて、その気の使い方があまりに自然なので誰も子供らしからぬ違和感に気づけない。
最後に、自宅まで送るという申し出を「警部さんたちはまだこのあと細かい検証が残っているんでしょう?外は明るいから、僕なら平気です」とやんわりと断った。礼儀正しくも有無を言わせない口調なのに、愛らしい顔だちと人懐っこい声がその真実を和らげる。
恐縮して振り返り振り返り、事後処理に大わらわな事件現場まで戻る馴染みの刑事を最後まで見送り、ようやく彼は作り物の笑みをひっこめて、再び疲れたような、不機嫌そうなしかめっつらに戻って足元に視線を落とした。
彼の名前は江戸川コナン。
12才という幼さながら、いくつもの事件を解決して非公式に警視庁のお偉方に重宝されている探偵だった。彼のほっそりとした肢体をつつむ仕立てのいいスラックスとチェックのシャツ、濃い色のネクタイはとても子供服には見えないのに、彼の子供らしい愛らしさを引き立てていた。
あえて違和感をあげるとするなら、青みがかった理知的で静かな瞳と、はつらつとした少年の体躯とのアンバランスさだろう。黙っていれば静かで穏やかな彼が、一度犯人を追い詰める時には改造スケートボードを駆使し、レーサー顔負けのチェイスをやらかすことを知っていればなおさらである。
彼に初めて会った人間は必ずといっていいほど、とても12才には見えないコナンを一度は訝しむ。しかしすぐに、「この子はこういう子なのだ」と納得をする、折り合いをつける。少なくとも彼がかつて7才の姿で17才の頭脳と魂を持っていた時のようには不自然ではない。12才の肉体と22才の魂と頭脳が混じり合いとけあった彼は、とても魅力的な少年に成長していた。
――――――
開いた携帯電話のボタンをいじりながら、パトカーが何台も止まっている広い駐車場を横切る。有名な少年探偵に気付きひそひそとうわさ話をする野次馬には目もくれず、俯きながら歩みをすすめるコナンの影に、夕日に照らされて伸びた細長い影が重なった。
「よお。お疲れ、探偵くん」
ぽん、と頭に手を乗せられ、コナンは顔をあげた。メガネ越しの瞳が驚いたように大きく見開かれ、赤い夕日と待ち人を映す。彼によく似た青年が、ビニルの買い物袋と大きなショルダーバッグをさげて立っていた。コナンは作成途中だったメールの画面を閉じて携帯電話をポケットにしまった。
「今、快斗にメールしようとしてたところ」
「だろーと思った。迎えに来たぜ」
黒羽快斗と二人きりになって初めて、コナンはようやく作り物ではない、安堵のまじったあどけない顔をむけた。一度この笑みを見てしまえば、それ以外の人間の前ではコナンがいかに巧妙に猫をかぶっていたかということがわかる。
22才という本当の年齢と秘密を知る快斗にだけ心を許す素の彼が、かえって12才らしいくったくのない口調と笑顔に近いというのも皮肉なことだ。
「犯人は捕まったのか?」
「もちろん。オレを誰だと思ってんだ。あ、片方持つよ」
コナンは牛乳パックが飛び出したビニル袋を奪って快斗に並んだ。よく似た二人がそうしていると、兄弟のようにしか見えない。ちらちらと探るように見つめるギャラリーの下世話な視線を無視し、二人は殺人事件が起こった――そしていましがた江戸川コナンが解決した――ショッピングモールの駐車場を抜けた。
あの時からコナンもずいぶんと背が伸びた。
今では身長も快斗と30センチくらいしか変わらない。劇薬の影響で縮んだ身体は小学6年生の平均的な身長と体重を少し下回るくらいだったが、堂々とした態度が少年を早熟に見せるのに役に立っていた。しかしそのバランスは危うい。
「何買ったんだ?こんなに」
コナンは歩幅を緩めず――むしろ帰路を急ぐように足早に――ビニル袋を覗き込んで苦笑した。ネギや椎茸、白菜、それから豆腐に肉にたくさんの缶酎ハイ。推理が得意なコナンも、買い物袋の中身から今夜の夕食を推理するのは難問だった。
「今夜は鳥鍋にしよーぜ」
「こんな暑いのに?」
「バーロ、暑いからいいんじゃねーか。汗だくで食うのもうまいぜ。オレがとっておきの作ってやるよ」
でも名探偵は飲酒禁止な、と快斗は交差点で足を止めた。
ここから右にいけば、大学近くのマンションで一人暮らしをしている快斗の家まで徒歩15分、左に行けば米花町までタクシーで10分ほどだ。迷わず流しのタクシーを探そうとする快斗のTシャツの裾を、コナンは引っ張った。
「……今夜はおまえんち行きたい」
二人は頻繁に――それこそ、一緒に暮らしていないのがおかしなくらい毎日会っていた。それはとある事情で黒羽快斗が江戸川コナンの事実上の保護者を兼任していることからもごく当然の成り行きだったが、どちらの家で会うかはまた別問題だった。
「で、今夜はこのまま快斗の家に泊まってもいいか?ここからなら米花に戻るより近いし」
「でもおめー明日平日だし学校あるだろ?」
コナンは一人で暮らしている工藤の家に戻ることを嫌がっていた。
広い邸宅に一人で戻るのが寂しいわけではない。そこは彼が長年工藤新一として暮らしていた家だったし、隣家には同じ小学校に通う、秘密を共有している少女も博士もいる。
「ま、いいか。オレが朝早めにバイクで送ればすむことだしな」
「……サンキュ」
家に帰りたくないコナンの気持ちを痛い程知っていた快斗はそれ以上追求しなかった。
江戸川コナンとして生きることを余儀なくされた彼が、工藤新一の姿がちらつくあの屋敷を厭う当然かもしれない。彼が、すでにコナンとして周囲に愛され成長していくにつれて、そのズレはどんどん大きくなっていく。
「んじゃ、途中でコンビニ寄っていい?」
「まだ何か買うのかよ」
「仕方ないじゃん、誰かさんの帰りを待ってたらアイスは溶けちゃうんでね」
以前よりはだいぶ近くなったコナンのひたいをピンと指で弾いて、快斗は悪戯っぽく笑った。そのままくしゃくしゃと頭を撫でると、コナンは快斗の膝裏に軽く蹴りを入れた。さっきまで大勢の関係者の前でとうとうと推理を述べていた礼儀正しい大人びた少年は、快斗の前でだけあどけなくやんちゃな12才の子供に戻る。
キッドとして新一よりも先にコナンに出会った快斗は、コナンの中に新一を見いだして比べたりはしない。というよりも出来ない。だからこそコナンの中に生まれてしまう違和感とズレを、快斗だけが埋めることが出来る。
そして成長の早い12才の身体はどんどん新一に近づいていく。今はもう昔と違って、人前で手を繋いでも「仲の良い兄弟ね」と笑って許してもらえるような見た目ではない。
「じゃあ早く買ってこいよ、荷物両方もってるから」
コナンの手が、快斗からもう一つの袋を奪う時に手の甲をさりげなく掠める。
10も年の離れた兄弟よりは親しく、そして年の離れた恋人にしてはあっけなく、一瞬だけ腕を絡ませた。
Re:Birth ―リバース―
――――――
タイトルは、
再生のリバースと、逆向きのリバース、そしてメールの件名の「~について」の意味。
もしもコナンが戻れなかったらのパラレルの場合、キッドとして新一よりも先にコナンに出会った快斗といることはコナンにとって救いになるんじゃないかなーと思うよ!
12才のショタから大人になりかけのクールな小悪魔なコナンくん萌え!!!!
というだけの話だよ!続きはいちゃいちゃラブラブで。
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