名探偵コナンの二次創作サイト。18歳未満の方は御遠慮ください。公式とは一切無関係です。 取り扱いカプ→快新・Kコ・その他コナン受 基本R18、管理人の趣味により猟奇、ヤンデレ、他者モブ×受けなフルボッコ話もあるかと思うので閲覧にはご注意ください。
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前回の続きです。
R18まで辿り着かなかった。次回こそ
――――
「オメーの本性は良く知っている。見くびったりも侮ったりもしない。」
誘拐
リクエスト通りコーヒーと、自分用にカフェオレを淹れてキッドがリビングに戻ると、探偵は意外にも行儀良くソファに足を揃えて座っていた。ここは怪盗のプライベートな空間だったし、自分達は今純粋に敵対しているというわけでもない。適切な立ち位置を計りかねているようだった。しかし借りてきた猫のように大人しい、かと思えばそうでもない。きょろきょろとひっきりなしに辺りを見回している。
「……そんなに気になるなら調べれば?どこでも好きに探検してくれていいんだぜ。ほれ、コーヒー」
湯気の立つカップを手渡すと、コナンは受け取ったまま、今度は手の中のカップと見下ろす怪盗の顔を無言で見比べた。
「……毒なんて入ってねえよ」
「そんなんじゃ……さんきゅ」
「どーぞ召し上がれ」
キッドが肩をすくめると、コナンは憮然とした面持ちでカップに口を付けた。
多分緊張しているのだお互いに。だからこんなに会話がぎこちない。キッドも自分のカップを持ち、テーブルを挟んでコナンの向かいの床にあぐらをかいた。
この部屋にまともな家具はこのソファとテーブルしかない。それと部屋の隅にノートパソコンが一台転がっていた。無造作に置かれているが、怪盗が自ら改造したハイスペックPCだ。円周率数兆桁の計算くらいは余裕で出来る。ちなみにこの部屋の他にはバスルームとトイレとキッチンしかない。
訂正、もう一つ家具があった。
ソファの足元に転がっているレトロなベル式の目覚まし時計。カチカチカチと煩いくらいに流れる刻を区切る。ちびちびとカップの中身を飲む二人がその沈黙を秒針の音でたっぷり自覚させられたあと、どちらからともなく口を開いた。
「なぁ…」
「ん」
「改めて考えれば変な話だよな。こうして二人で茶を飲んでるっていうのも」
「いいんじゃねーか?ここは休戦ライン、空白地帯だ」
キッドは二人の間の低いガラステーブルの表面を、ちょうど真ん中を、指先でつとなぞった。その手にシルクの手袋はしていない。ガラスに白く指紋の跡がついた。黒のTシャツにジーンズ、そしてモノクルだけをしている。キッドとただの青年のちょうど中間。
「バーロ、休戦だからって何もしないって手はねえだろ?」
「それもそうだな。じゃあ名探偵、そっち行っていいか」
キッドの瞳に不敵な色が浮かぶ。
「いや……お膳立てしてくれたのはオメーだからな。オレが越えるさ」
コナンの小さな、小学生の指先が、キッドがなぞった休戦ライン、白い指紋の線を辿り返した。
ここを越えると告げる。キッドは軽く両手を広げた。
「どうぞ?」と。
いつものようにそれに対して挑戦的に応えるかと思われた小さな探偵は、しかし無表情で――――よくよく見れば頬を微かに赤らめていることがわかる――ソファから降り、テーブルを周りこんで、床に直接座っているキッドの前に立った。
「……」
小さな子供と遊ぶ面倒見の良い青年といった風情で両手を広げて悪戯めいた笑みを浮かべるキッドをしばらくぼんやりと見つめると、おもむろに右隣に座る。まだ、素直に腕の中に入る気にはなれなかったらしい。キッドは残念がりもせず揶揄することもからかうこともなく黙って腕を下ろした。
下ろしたキッドの左の肘は隣に座るコナンの右の二の腕にぶつかる。二人とも半袖のシャツだったから、そこだけが触れ合っていた。腕を組むでも手を繋ぐわけでもない微かな接触に、冷房が効いているのにも関わらず体温が上昇した。
また秒針が回る。
息が苦しくなった。互いの心臓の音なんてとっくに暴かれている。
たっぷり10分程過ぎてそろそろ身動ぎしない尻が痛くなったころ、コナンはキッドのあぐら座りの膝の上にぎこちなく小さな手を置いた。キッドはしばらくしてその小さな手に、右手をそっと重ねた。重ねて、包む。
会話も何もなく、知らんぷりをしているくせに手だけ触れている。まるで手だけが自分の本体から切り離されてしまったみたいに現実感がなかった。繋がった熱さに耐えきれずコナンが指先をもぞもぞと動かすと、キッドは手を握ったまま指を絡ませた。それでようやく、二人は「これは自分の手だ」と気付いた。手の平がじわりと汗ばみ滑りそうになるので、滑って離れてしまわないように力を込めた。
「さすがに怖い?」
怪盗が聞いた。
「んなわけあるか」
探偵が即答した。
あれから半時ほどの沈黙をやぶり、水槽のような息苦しい空間に、静かに波紋した言葉は主語も目的語も対象も不明の問い。しかしその故意に隠された言葉は互いにわかりきっていた。
「……そうか、俺は怖いよ、名探偵」
「怖くない」と即答したコナンに、キッドは笑った。吐き出した吐息は笑っていたが目も唇も笑ってなかった。正面を向いていたコナンには気付くことが出来なかったが。おまけにその瞬間切迫した絶妙な均衡を破り、怪盗は腕の中に探偵を抱きしめた。
「キッ……」
「……俺は怖いよ」
キッドの名前を呼びかけたコナンの声は震えていた。怪盗の声はまたも笑っていたが、今度は顔を胸に押しつけるように抱き込まれていたので、やっぱり探偵に怪盗の真実の表情は見えなかった。
「別におめえを壊しちまいそうなことが怖いわけじゃねえ。オメーの本性は良く知っている。見くびったりも侮ったりもしない。でもな、怖い。箱をもらったパンドラも、こんな気分だったんじゃねえかな」
「開けると災いが解き放たれるって?」
コナンは首を傾げてキッドを見上げる。
モノクルで顔を隠す意味が既に無いくらい、近い。
「何が入ってるかわからないからパンドラは箱を開けた――そう言ったのはお前だろ?」
コナンはキッドの手をとると、自分のシャツの胸元に導いた。トクン、と生き物の鼓動がキッドの手の平に伝わった。
「確かめてみろよ。オレの、中身を」
誘拐
――――――
次こそR18で。
あと、モブ×新一受けの目処がついたのでそっちももってきたいです。
アポトキシンの人体実験ネタ…になるかな。そちらはキッド受けも交じるのでご注意。
お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいです
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